年齢を重ねるごとに濃くなっていくヒゲや胸毛、しかし髪は薄くなっていく一方です。
体の中で髪が伸びたり、薄くなったり、どうしてこのような違いが起きるのでしょうか。
ポイントは男性ホルモンです。
今回は髪の毛と男性ホルモンについて見てみましょう。
男性型脱毛症の原因とは
多くの場合20代から脱毛が始まり、30~40代で前頭部と頭頂部が著しく薄くなってきます。
始まりの時期により、青年性、若年性、壮年性、老人性と言うように分類することができます。
男性型脱毛症により脱毛は次の通りです。
筋肉や骨格を発達させ男らしい体を作る男性ホルモンのテストステロンが、
毛乳頭細胞内に入ると5α‐リダクターゼ(還元酵素)により、
より活性の強い5α‐DHT(ジヒドロテストステロン)に変換され
男性ホルモンレセプター(受容体)と結合し遺伝子に取り込まれて、
薄毛、細毛を引き起こすようになってきます。
DHT(ジヒドロテストステロン)と男性ホルモンレセプター(受容体)がくっつくことでAGAになるんですね。
しかし男性ホルモンレセプターは、後頭部や側頭下部の毛乳頭細胞にはわずかしかないことから、
前頭部や頭頂部が薄毛でも、後頭部や側頭部の毛髪は残ることになります。
ヒゲは伸びるのに、前頭部と頭頂部が薄くなるのどうして?
男性ホルモンの影響によりヒゲが濃くなり、前頭部、頭頂部の髪は薄くなっていきますが、
なぜ同じ男性ホルモンが一方では発育を促進し、もう一方では退縮させるというまったく逆の作用をするのでしょうか。
これについては、毛乳頭細胞を取り出し、男性ホルモンを添加して一緒に培養して観察したところ、
ヒゲの毛乳頭細胞では上皮系細胞(皮膚の表皮や消化管の粘膜のような細胞)の増殖が見られ、男性型脱毛を起こしている髪の毛乳頭細胞では増殖が抑制されることが観察されています。
またハゲやすい前頭部の頭髪と、ハゲにくい後頭部の頭髪を交換移植したら、
後頭部から前頭部に移植した頭髪はそのままで、前頭部から後頭部に移植した頭髪はハゲてしまったという結果があります。
ヒゲの毛乳頭細胞では「インスリン様成長因子(IGF‐Ⅰ)」が分泌され、ヒゲの成長が促進されるようになります。
また前頭部、頭頂部の毛乳頭細胞では、角化細胞の増殖を抑制する「形質転換成長因子(TGF‐β1)」が作られ、毛乳頭が萎縮し、
毛母細胞の成長が抑制され、アポトーシス(プログラムされた細胞死)を起こすようになります。
そこでヘアサイクルの成長期が短縮し、細くて短い毛に生え替わりながら、ウブ毛へと逆転換して、薄毛になっていくことがわかりました。
ヘアサイクル
毛髪は、一度生えたらそのままずーっと伸び続けるのではなく、一定期間成長した後に自然に抜け、またしばらくすると、通常は同じところから同じような毛が生えてきます。
その後成長が止まって、自然に抜ける準備をする2~3週間を経て、完全に成長が停止した状態が2~4ヶ月続きます。
その後また新しい毛の成長が始まると、古い毛は自然に抜けて行きます。
そのため全体としての毛量は一定しています。
この生え替わりの現象をヘアサイクル(毛周期)と言います。
このヘアサイクルは年齢、性別等によって多少違いますが、「成長期」は、女性は4~6年、男性は3~5年となっています。
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