近年、今まで嫌われ役であった3大栄養素の「脂質=油(脂)」が注目を集め始めています。
これまでは「脂質=コレステロール=悪」といった印象を私たちは長らく受けてきましたが、近年になり、健康に対する意識の変革と共に、炭水化物やタンパク質よりも実は脂質管理こそが健康、髪、そしてスポーツパフォーマンスにとても大きな影響を与える大切なエネルギー源・栄養素であるとアスリートやモデルを中心に認識され始めています。
Contents
脂質とは?良い脂質は髪に必要不可欠!
脂肪は、タンパク質、炭水化物と共に三大栄養素の一つで、1gにつき約9kcalのエネルギーを放出し、エネルギー源として重要な働きをしています。
脂肪には、動物性のものもあれば植物性のものもあり、栄養学では、脂肪を「脂質」と呼んでいます。
食事を通じて体の中に入った脂質は、さまざまに形を変え、血液やリンパの流れに乗って体内をめぐっています。
体内の脂質は、大きくトリグリセリド(中性脂肪)、コレステロール、リン脂質、脂肪酸の4つに分けられ、それぞれ体の中で重要な役割を果たしています。
水分が肌の表面から蒸発するのを防ぐために、皮脂の原料となる良い脂質も適度にとる必要があります。
頭皮のベタつきなどを気にして極端に脂質を避けた食生活を送っていると、肌はカサカサになってしまい、髪にも悪影響を与えてしまいます。
そのため、適度に良い脂質を摂取することが大切です。
肌質が悪くなるとフケや、頭皮の臭いの原因にもなるわ。
また悪い脂質は血液をドロドロにする原因となってしまいますが、良い脂質は血管に柔軟性を与えてくれます。
髪のために摂取すべき油と脂

(出典:大塚製薬 栄養素カレッジ)
脂質(脂肪酸)には常温で固まる「脂」と、常温で液体の「油」があります。
「脂」の主な成分は「飽和脂肪酸」と呼ばれるもので、肉やバター、ラードなど動物性の脂に多く含まれます。
一方、植物や魚の「油」に多く含まれるのが「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。
頭皮環境を良くするためには、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6、オメガ9)をバランスよく摂取する必要があります。
○飽和脂肪酸
良質な飽和脂肪酸の代表例:ギー、MCTオイル、グラスフェッドバター
ギーとは、インドを中心とした南アジアで古くから作られてきたバターオイルの一種の乳脂肪分で、無塩発酵バターを煮詰めて、水分やタンパク質、糖分などを取り除いた高純度のオイルです。
一般的に、飽和脂肪酸は動物の肉や脂肪、乳などに多く含まれる悪い脂質と思われがちですが、ギーの脂肪の多くは短鎖脂肪酸もしくは中鎖脂肪酸と呼ばれる脂質で、摂り方によっては体の健康に役立つ脂質といえます。
短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は、体内で比較的エネルギーに変わりやすい特徴があり、少量で多くのエネルギーを生み出すため、スタミナやエネルギーの維持に役立ちます。
また、運動などをしっかり行えば、体内にも蓄積しにくい脂質と考えられます。
また、ギーに多く含まれる脂溶性ビタミンのビタミンAやビタミンEには粘膜の保護や活性酸素の除去効果など健康に役立つ働きがあります。
ラードや豚の脂ではなく、ギーやMCTオイルを摂取することが大切です。
○不飽和脂肪酸(オメガ3)
良質なオメガ3の代表例:えごま油、亜麻仁油、青魚など
オメガ3系脂肪酸は、代表的な脂肪酸としてはα-リノレン酸があり、α-リノレン酸は、人の体内でつくることができない必須脂肪酸のひとつです。
α-リノレン酸は、体内に入ったあと、代謝されてEPA、DHAとなります。
植物由来の油では、えごま油や亜麻仁油に多く含まれるほか、青魚含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)もオメガ3系列脂肪酸です。
○不飽和脂肪酸(オメガ6)
良質なオメガ6の代表例:コーン油、大豆油、綿実油、グレープシードオイルなど
オメガ6系脂肪酸は、代表的な脂肪酸としてはリノール酸があり、リノール酸は、人の体内でつくることができない必須脂肪酸のひとつです。
血中のコレステロール濃度を下げると言われています。
植物由来の油では、コーン油、大豆油など、身近な油の主成分でもあります。
○不飽和脂肪酸(オメガ9)
良質なオメガ9の代表例:オリーブオイル、べに花油(ハイオレックタイプ)、なたね油(ハイオレックタイプ)、落花生油など
オメガ9系脂肪酸は、代表的な脂肪酸としてはオレイン酸があり、オレイン酸は、油から取り入れるほか、体内でも合成されます。
血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロール濃度を下げると言われています。
代表的な油にオリーブオイルがあります。(オリーブオイルは低温で固化する場合もあります。)近年はオレイン酸が多く含まれるよう原料が品種改良されたべに花油や、なたね油が流通しています。
🔽絶品!MCTバターコーヒーを見てみる!🔽
最近は不飽和脂肪酸(オメガ6)が体に良くないことが分かってきた!
オメガ6は必須脂肪酸である一方、摂りすぎると健康を損ねてしまう危険性のある脂肪酸です。一般的な食生活を送る日本人は、オメガ6を3~5倍くらい過剰に摂取しているといわれています。
オメガ6を過剰に摂取することで、花粉症などのアレルギー症状を起こしやすくなったり、高血圧や動脈硬化などのリスクが高まるといわれています。
オメガ6系のリノール酸は、揚げ物料理を作るときなどに、リノール酸を200度前後に加熱すると、「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が大量に発生することが分かっています。
また、200度前後に加熱しなくても、リノール酸が体内に入り酸化ストレス(酸化反応が亢進する状態)がかかると、体内でヒドロキシノネナールが発生します。
ヒドロキシノネナールは、体内に蓄積すると細胞にダメージを与え、神経細胞やあらゆる臓器の細胞を変性させ、やがて死に追いやります。
有松医科歯科クリニックの山嶋先生が行っている研究では、ニホンザルに週1回、半年間ヒドロキシノネナールを注射し続けると、すべての臓器の細胞がダメージを受けていることが確認できました。
すべての臓器の細胞がダメージを受けるということは、もちろん血管の細胞も同様です。
山嶋先生の友人の「油」研究家によると、日本人は年間約13Lもの食用油を摂取しているそうです。
加えて、日本人の約40%は、アルコール分解酵素が少ない、または全くないことがわかっています。つまり、お酒に弱い人です。
そういう人は、ヒドロキシノネナールも分解できません。
エチルアルコールからできるアセトアルデヒドと、サラダ油からできるヒドロキシノネナールは成分が似ているからです。ですから、日本人はヒドロキシノネナールが体内に蓄積しやすいといえます。
普段摂取しているサラダ油がすごく危険!
サラダ油は、日本で開発された植物油で、低温でも結晶化しないように精製されています。
生でサラダに使える油という意味で、日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。
サラダ油は菜種油・大豆油・コーン油・ひまわり油・ごま油・紅花油・綿実油・米油・ぶどう油を総称した油です。
それらを低温でも固まらないように精製し、JAS基準を満たしたもののみがサラダ油と表記されます。
サラダ油の主成分は、オメガ6系のリノール酸です。
摂取してはいけない脂~トランス脂肪酸~
食品の加工、調理段階で生成するトランス脂肪酸を含む主なものは、水素添加された硬化油を含むマーガリン、ショートニングなどで、これらを含む加工食品、精製植物油にも含まれています。
牛などの反芻(はんすう)動物の肉や乳は、天然に生成されるトランス脂肪酸を含んでいます。
食品安全委員会では、平成18年度に国内で流通している食品中のトランス脂肪酸含有量の調査を実施しています。その結果、日本人が一日に摂取するトランス脂肪酸は平均で0.7~1.3グラム(摂取エネルギー換算では約0.3~0.6%)であり、この量は欧米に比べると少ないとされています。
しかし、脂肪の多い菓子や食品の食べ過ぎなど偏った食生活の人は、トランス脂肪酸摂取量が平均値を上回る可能性があるとしています。
トランス脂肪酸には、LDL(悪玉)コレステロールを増加させ、HDL(善玉)コレステロールを減少させる働きがあるといわれています。
多量に摂取を続けた場合、動脈硬化などによる虚血性心疾患のリスクが高くなるとの報告もあります。
その他にもがん、糖尿病、アレルギーとの関係が疑われています。
揚げ物はオリーブオイルで行おう!
オリーブオイルの主成分は酸化に強いオレイン酸です。
体に良い油での揚げ油候補に十分なります。
日本では、何種類かのオリーブオイルが売られており、よく見るのはエキストラバージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルですね。
さて、ピュアオリーブオイルですが、別名で二番搾りと言われる事があります。
エキストラバージンオリーブオイルが一番搾りで、ピュアオリーブオイルは二番搾りという事らしいのですが、この二つ実はかなり違うのです。
ビールの一番搾りと二番搾りのような関係ではありません。
例えば、ピュアオリーブオイルの一部のメーカーは、原料として”エキストラバージンオリーブオイルを搾った後のオリーブの実の搾りかすに有機溶剤を使用して絞り出した油”を使っている事があります。
イタリアでは”サンサオリーブ油”(搾りかすオリーブ油)と呼ばれています。そのため一般的なイタリア人のは、食用に使いません。
もちろん、スーパーマーケットなどのお店にも売られていません。
そういったことを考慮すると、エキストラバージンオリーブオイルでの揚げ物がおすすめです。 エキストラバージンオリーブオイルは意外に熱に強くて、概ね190度まで耐えられます。
少し値段難いというのは難点だけど。
理想の摂取量
脂質は、食品からどのくらいの量を摂取すると適量なのでしょうか。
脂質を始め、糖質やタンパク質は、エネルギー産生栄養素といわれています。
そして、食事摂取基準の値は「%エネルギー」で表示されます。
脂質の摂取基準は20~30%ですが、個人で必要なエネルギーは異なります。
例えば、日常生活の活動量で、それぞれ脂質の摂取基準は異なってきます。
では、平均的な摂取量をご紹介します。

(出典:厚生労働省のHP)
MCTオイル、オリーブオイルはコクや旨味を出してくれて特におすすめ! あとは青魚の缶詰を食べればバッチリです!
まとめ
今回は髪に良い脂と油をお伝えさせて頂きました。
唐揚げやスナック菓子の影響で、脂質=悪と思われがちですが、実際にはそんなことはなく、良質なアブラは髪に頭皮に潤いと弾力さを与え、血管にも柔軟性を与えてくれます。
インドの伝承医学アーユルヴェーダでもオイルうがいが推奨されていたり、一時期は、海外セレブの間でもオイルうがいは流行っていたようです。
健康な体と髪を維持し続けるためにも、毎日良好なアブラを摂取し続けられるようにしましょう!
🔽絶品!MCTバターコーヒーを見てみる!🔽